「処暑」
2024.08.20

8月16日には松江大橋周辺で「灯籠流し」が行われました。静かに川面を流れる灯籠はとても幻想的で、この時期の風物詩になっていますね。灯籠流しで精霊を送ると間もなく「処暑」を迎えます。処暑(しょしょ)は二十四節気のひとつで「厳しい暑さが収まる頃」とされています。とはいえ日中の気温はかなり上昇しているのでもう暫くは暑さ対策が必要になりそうです。★電気の無かった時代の人々は扇風機もエアコンも無い生活の中で暑い夏をどのように過ごしたのでしょうか? 便利になった現在の生活からは想像することさえ難しいですね。古い書物などには江戸時代の人々は日常の暮らしの中で涼しさを求めるために様々な工夫をしていたと書かれています。日中は簾(すだれ)や葦簀(よしず)などを活用して風通しの良い空間で過ごすのが基本だったようで、家の玄関先や道に水をまく「打ち水」も盛んに行われたそうです。また、井戸水で冷やした「西瓜」や、商人が売り歩く「冷や水」も人気があったとか。意外ですが、「甘酒」なども栄養補給と夏バテ防止の効果もあることから好んで飲まれていたそうです。日々の暮らしの中では「金魚」や「風鈴」なども涼しさを演出する小さな工夫だったのかもしれませんね。★まだまだ残暑は厳しいですが、先人達の工夫に倣って暑い夏を乗り切りたいものです。
「お盆」
2024.08.12

いよいよ明日からはお盆。朝晩は少しだけ過ごしやすくなっていますが、まだまだ暑い夏が続きそうですね。★そもそも「お盆」の由来は何でしょうか?「お盆」は仏教における「盂蘭盆(うらぼん)」に基づくとされています。語源はサンスクリット語の「ウランバーナ(逆さに吊り下げられた苦しみ)」とされ、盂蘭盆経に書かれた目連尊者の説話が広く知られています。その昔、お釈迦樣の弟子の目連尊者の母親は子である目連尊者を溺愛し、周囲の不幸に無関心であったことが原因で餓鬼道に落ちてしまいます。餓鬼道に落ちた母は逆さに吊され、食べることも飲むことも出来ずに苦しむことになりました。神通力を持つ目連尊者は母のその姿を目にし、嘆き悲しんでお釈迦樣に相談します。するとお釈迦樣は、自分の力を母親のためだけでなく、母親と同様に飢え苦しむ人々のために使うよう諭しました。これに従った目連尊者の功徳により母親は極楽往生を遂げたとされます。盂蘭盆の概念については諸説あり定かではないようですが、古来より日本にあった祖霊を祀る文化と融合して現在のようなお盆の行事になったと考えるとなるほどという気がします。お盆はご先祖や故人とつながる時期。心静かに過ごしたいものですね。★明日からの3日間はお盆休みとさせていただきます。お盆前の期間にはご愛顧を賜りましたことスタッフ一同、心よりお礼申しあげます。
「盆提灯の組立て⑤」
2024.08.03

今日の松江の最高気温は35度を超えていたのではないでしょうか。外出する際には注意が必要になる暑さでしたね。★提灯の組み立てのご紹介は最終段階となります。台座に「火袋」をかぶせて3カ所の「火袋止め」を回して止めたら「電球」を取り付けます。さらに「上柱」の上端に「雲手」を取り付け、火袋をゆっくり持ち上げて「金具」に火袋の紐を掛けると完成です。今回は一般的な大内提灯の組み立て方法をご紹介しましたが、それぞれ提灯ごとに組み立て方が異なる部分もありますので付属の「組立説明書」を参考にします。また、盆明けに提灯を収納する際には虫食い予防のため提灯用の「防虫香」などを入れておかれることをおすすめしています。★火種の油が貴重であった時代から「灯り」は大切なお供えとして定着していたようです。また仏教において「灯明」は闇(無明)を照らす智慧の灯りとされてきました。お盆に用いる提灯もご先祖をお迎えする際の灯明で、すでに鎌倉時代には京都で精霊迎えとして「高灯籠」が用いられていたという記録が残されています(明月記)。現在ではお盆の形態は地域や宗派ごとに特色がありますが、ご先祖や故人を想う気持ちは連綿と受け継がれているような気がしますね。
「盆提灯の組立て④」
2024.08.02

私たちの工房ではお盆までの納品の準備でいよいよ慌ただしくなりました。気温も上昇しているので体調管理には留意しなければなりませんね。★大内提灯の組み立ては、3本の足のうち手前側が1本、奥側が2本になるようにして作業を進めます。「ソケットコード」を下側から「通し穴」を通し、中央の固定穴に「締め付けネジ」で取り付けます。一般に「締め付けネジ」には「房掛けフック」が付いているのでそこに房を掛けます。次に2本の「上柱」を差し込みます。「上柱」の上端には「火袋」の吊り紐を掛ける金具が付いているので、この金具が外側になるようにします。このあたりの工程はそれほど難しくありませんので、どなたでもスムーズに組み立てられるのではないでしょうか。次に「ロクロ(台座)」に「火袋」をかぶせ、台座上面にある3カ所の「火袋止め」を回して火袋が持ち上がらないよう固定します。分解の工程では逆の手順になりますが、「上柱」を抜く際には柱を左右に小刻みに揺らしながら少しずつ抜くようにすると安全に抜き取ることができます。ここまで来れば完成は目前ですね。次回は組み立ての最終段階となります。★松江では明日から「松江水郷祭湖上花火大会」が開催されます。天候の崩れはなさそうですね。