「上達の四段階」
2024.09.30
お彼岸の中日を過ぎてからはすっかり秋めいた気候に変わりました。日中は汗ばむような陽気でも夕刻からはもう秋の気配ですね。★私たちの工房でも気候が良くなりましたので、順調に仕事を進めています。画像は金箔の剥がれたお位牌を補修しているところのものです。金箔を施した仏具や仏像の表面は特にデリケートで、取り扱いには注意が必要になります。万一、金箔が剥がれた場合は比較的短期間で修復が可能ですので専門店にご相談ください。★随分以前のことですが、私の修業時代には金箔の基本も知らない段階から教わったので、師匠には随分と面倒を掛けたのではないかと今更ながら反省しております。私が教わった金箔技術は習得までに4段階ありました。第1段階はとにかく繰り返し試すこと。上手く行くことなど殆どありませんがとことん練習を積み重ねます。第2段階は上手く行かないところを改善する段階となります。師匠の指導を受けながら、何故上手く行かないのか考え、あらゆる方法を試して基礎を確立します。第3段階は先人達の指導書などを確認しながら高いレベルの技術に挑戦します。最初から難しい指導書を見ても意味が分かりませんが、基本的な技術が習得できれば理解できるようになります。第4段階は見えないものを見る力を養います。江戸時代に造られた仏像などの修復には先人達の気持ちをくみ取る想像力も必要になります。★随分と時は流れましたが、仕事をする度に修業時代の場面を鮮明に思い出すのは不思議なものですね。