「初物」
2024.04.30
今日の松江はやや雲の多い朝となりました。大型連休を迎えてからは観光で松江を訪れる方も多くなっているようです。★先週後半あたりから気温も上昇して松江城周辺の木々は青々と色付いて初夏の気配が漂っています。「目には青葉 山ホトトギス 初鰹(山口素堂)」 江戸時代の俳句で詠まれたように季節が移り変わる情景は現在とそれほど違いがなかったのかもしれませんね。特にこの時期に取れる初鰹は脂身も少なく絶品とされ、古くから俳句の題材にもされてきました。江戸の人々は初物の鰹に熱狂し、初鰹の値段は高い時で一本金二両から金三両ほどであったとか。初物を好んだ江戸の庶民にとっても「初鰹」は高価なものであったはずですが、それでも平気で食するのが江戸っ子の粋であったようです。★鰹に限らず古来より「初物」は縁起が良く、初物を食べると七十五日ほど長生きすると言われてきました。由来は様々あるようですが、験担ぎの意味もあったのでしょうか。ご先祖様への供物も季節一番の米や初物の野菜で作ったお膳をお供えする習慣があったとされ、これもごく自然なことだったのかもしれませんね。初夏に吹く風も鮮やかな青葉も普段の暮らしの中の小さなことですが、季節の旬に出会ったようでなぜかありがたい気持ちになります。★連休の後半には天候も回復して行楽日和となりそうですね。