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スタッフブログ

「聖観音菩薩像修復④」

2023.12.10

今日の松江は雲の多い朝を迎えました。気温は穏やかで寒さも感じない一日になりそうですね。★聖観音菩薩像の修復は無事に終わりました。造られた当初はこのような状態であったのではないでしょうか。一般に、古い仏像はそれぞれ異なっており、損傷の程度も一様でないことから、特定の仏像修復のための解説書などはありません。師匠から教わった修復技法やこれまでの経験を基に、可能な限り最良の手法で修復することになります。多くの場合、修復途中で様々な困難に遭遇することになり、想定通りに進むことは殆どありません。今回もいくつかの場面で悩むことになりました。宝冠部分の剥離した胡粉の処理が思うように行かず、これは何度もやり直しをしています。また、欠損した右手の製作についても左右の腕が蓮弁を開こうとする位置にないことから、多くの資料を検証することになりました。完成がやや遅れてしまいましたが、無事に納入することができて安堵しております。★師匠から教わった修復技法に関わる記録を紐解いてみると「仏像はあくまでも信仰の対象であり、その技法はそれに相応しいものであるか」「その技法は百年後まで残ることを前提としているか」「将来、再度修復された場合、職人が基本技法を用いて再修復できるよう考慮しているか」とあります。今では尋ねることも叶いませんが、困難な場面に遭遇する度にここに立ち戻るようにしています。★週明けから雲の多い天候になりそうな予報になっています。週の半ばにかけては雨の降る日もありそうですね。