「聖観音菩薩像修復①」
2023.10.10
松江は小雨の降る朝を迎えています。今日は雲の多い一日になりそうですね。★京都などの寺院を巡ると数多くの観音菩薩像が祀られていることが分かります。「観音さま」として知られるこれらの「観世音菩薩像」はいつ頃から存在したのでしょうか?実はその起源は古く、インドでの観音信仰の成立は紀元1世紀頃とされています。当初は「聖観音像」が中心で、のちにヒンドゥー教の影響を受け、多くの顔や腕をもつ「多面多臂(ためんたひ)」などの密教的な観音像が誕生するようになったようです。5世紀頃には中国で観音造像が盛んになり、日本には飛鳥時代に伝来したと考えられています。当時の観音信仰は鎮護国家、あるいは除災などの現世利益が中心で、平安時代の10世紀頃になると浄土信仰の発達を背景に観音信仰も来世利益的な意味を持つようになります。のちに観音信仰は全国に広まり、衆生を救う慈悲深い菩薩さまとして民衆信仰の代表的な存在となったとされています。★現在でも観音様はお仏壇やお堂に安置され広く信仰されています。画像は「聖観音菩薩像」で、修理のご依頼を頂きお預かりしたものです。大変古い観音像ですが表情や衣、蓮華座などの彫刻は端正に仕上げられ、漆箔も丹念に施されています。経年による傷みは見られるものの、長い歳月にわたり大切にされてきたことがうかがえます。時間をかけて丁寧に修復してお返ししたいと思います。(画像はご依頼者様にご了解を頂き掲載しています)