「位牌の修理①」
2023.06.10
今日の松江は朝から青空が広がりました。日中の気温も上昇しそうですね。★暦の上では「芒種(ぼうしゅ)」を迎えています。芒種は二十四節気の一つで、江戸時代の暦の解説書には「芒(のぎ)のある穀類、稼種する時なり」と記されています。「芒」とは稲などの穂先の針のような突起物を指し、古くから「芒」のある穀物の種を蒔く(植える)時期とされていたようです。「芒」のあるイネ科の植物の種子が成熟して実る頃だとする見方もあるそうですが、現在では「梅雨入りの頃」というイメージが強いですね。★私たちの工房ではお盆の準備の期間を中心に、仏具やお位牌の修理を続けています。時折、珍しいお位牌をお預かりすることがありますが、画像のお位牌も今ではすっかり見なくなった形状で、年月日の記録から約85年前に作られたとものと推測されます。比較的傷みは少なく、大切に安置されていたことが分かります。何処の工房で造られたお位牌なのか分かりませんが、丁寧な職人の手仕事に依るものと思われます。細部の彫刻は深く丹念で、塗りは今でも十分な強度を保持しており、当時の職人の気概が伝わってくるようですね。今回は金箔が剥落しているので、固着を優先して塗り替えと箔押しの手順で進めることにしました。(画像はご依頼者様のご了解を頂き掲載しています)