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「大寒」

2025.01.20

一年でもっとも寒い時期とされる「大寒」を迎えました。朝晩の冷え込みは厳しいようですが日中は比較的に穏やかな天候となっていますね。★大寒は「冷気が極まって最も寒さがつのる時期」という意味があるそうで、この時期は空気中の雑菌も少なく水質も良いことから、昔から味噌や醤油、日本酒などを仕込み始めるのには適しているとされています。つい完成した製品にばかり意識が向いてしまいますが、目に見えない部分の準備や仕込みの工程を考えると簡単なことではないと感じます。どのような仕事でも目に見えない部分に大切なことがあるのかもしれませんね。★禅寺の玄関には「脚下照顧」という板木が置かれていることがあります。履物を揃えましょうという意味もありますが、別の意味もあるようです。臨済宗の僧侶である「孤峰覚明禅師」が弟子の一人に「禅の極意は何でしょうか」と問われた時に「照顧脚下」と答えたと伝えられています。曹洞宗の開祖である「道元禅師」も日々の修行の中に「履物を揃える」という行為を組み込んだとされます。履物を揃えることは「自分自身を見つめる」「自分の行いを振り返る」ということ。転じて他人のことではなく自分自身をしっかり見つめて正しい心を持ち、正しい行いを心掛けましょうという戒めの意味でもあったようです。★800年近く前の禅の言葉に、今なお身の引き締まる思いがするのは不思議なものですね。

「花立ての凍結対策」

2025.01.10

穏やかな天候で迎えた新年も、今週に入ってからは本格的な冬の空模様となりました。今朝の松江城周辺も一面の雪景色ですね。★この時期になると花立ての水の凍結対策や水漏れなどのご相談をいただくことがあります。寒い部屋に置かれたお仏壇や、屋外のお堂などに置いてある花立ての水は冬の寒い日に凍ることがあるので注意が必要になります。水は凍ると膨張しますので、場合によっては陶器製の花立てなどは割れてしまうこともあります。過去のブログでもご案内していますが、対策としては花立ての中にポリエチレン製などの筒を入れるという方法をおすすめしています。まず、画像左側のような調理用のボトルを準備します。これはホームセンターや100円ショップなどで販売されていますので簡単に入手できると思います。花立ての内径よりやや小さいものを選び、花立ての長さに合わせて上の部分を切って差し込めば二重底の花立てになります。この筒の部分にだけ水を入れて花をお供えします。樹脂製の筒はある程度伸縮しますので、中の水が凍っても花立てが割れることはありません。また、金属製の花立ての場合でも一年の気温差と経年による劣化で、防水材(タール)に亀裂が入り水漏れを起こすことがあります。万一、水漏れが発生した場合は比較的短期間で修理が可能ですので専門店にご相談ください。★冬休み明けからはインフルエンザも流行っているようです。体調管理には十分に留意したいものですね。

「大晦日」

2024.12.30

年の瀬を迎えて松江は不安定な天候になっています。それでも昨日の堀川遊覧船には帰省や観光で訪れた多くの方々が乗船されていたようです。★いよいよ明日は大晦日。一年の締めくくりの日として気持ちよく過ごしたいものですね。この時期は全国の神社で「大祓(おおはらえ)」という神事が執り行われます。これは奈良時代の宮中祭祀に起源をもつ歴史のある行事で、六月末の「夏越の祓(なごしのはらえ)」のあとの半年間の罪や穢れを祓う儀式とされています。各家庭では一年間の幸福をもたらす「歳神様」を迎えるため大掃除などで準備を整え、古くは一晩中眠らずに歳神様を迎えるという風習もあったそうです。★寺院では大晦日の夜に「除夜の鐘」をつく行事が行われてきました。これは心身を惑わし悩ませる煩悩を取り除き、清らかな心で新年を迎えるための行事とされています。「除夜の鐘」の起源は中国の宋の時代にまで遡るそうで、「鬼払い」のため月の最後の夜に鐘をついていたものが一年の最後だけになり、この行事が鎌倉時代に日本の禅寺に伝わったとされています。古くからこの日は心身を浄める区切りの一日と考えられていたようですね。★皆様にはこの一年ご愛顧を賜りましたこと心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。母里佛具店の年内の営業は本日12月30日(月)まで、新年は1月6日(月)より通常営業致します。来るべき年が皆様にとって素晴らしい一年になりますよう心よりお祈り申し上げます。

「冬至」

2024.12.20

今年も残すところ十日余りとなり私たちの工房もいよいよ追い込みに入っています。塗り替えのお仏壇の組み立てや文字彫刻は最後の週末まで掛かりそうですね。★気が付けば師走も終盤を迎えて明日は「冬至」。日照時間が一年でもっとも短くなる日で、ここから春に向けて日が長くなることから「一陽来復(いちようらいふく)」と言って、冬至を境に運気が上昇するとされてきました。世界各地でも「太陽が生まれ変わる日」として古くから祝祭が行われてきたようです。★日本の冬至でも様々な慣習があったようですね。「ん」のつくものを食べるという風習は広く知られています。由来は諸説あるようですが、カボチャ(なんきん)、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、かんてん、うどんなどは有名で「冬至の七種」などとも呼ばれています。太陽の力の弱い時期に栄養価の高いものを食べようという思いもあったのでしょうか。また、小豆の入った「冬至粥」を食べる地域もあるそうです。「小豆」には邪鬼を祓う力があると言われることから、強い運気を呼び込む縁起物とされたようです。全国的に馴染みのあるのは「柚子湯」でしょうか。お風呂に柚子を浮かべる風習は江戸時代に広まったと言われていますが、柚子の皮にはビタミンCやクエン酸などが含まれており、疲労回復にも効果があるそうです。日照時間が短く寒い時期を乗り切るために生まれた様々な暮らしの中の工夫にも日本独特の風情を感じますね。